素因による減額

素因による減額とは、交通事故の被害者の損害が、被害者自身が元々有していた身体的・精神的事情によって、通常の場合よりも大きくなっていると考えられる場合、加害者が支払う損害賠償額から一定程度を減額するという制度のことをいいます。

減額のための法的構成は、「過失相殺の規定の類推適用」と呼ばれる法律構成です。

<交通事故における素因による減額の分類>
身体的素因・・・疾患(病気)といえるほどの状態であった場合
心因的素因・・・裁判実務では、現在のところ、原則的には「被害者のあるがまま」を受け入れて賠償すべきであるものの、被害者の心因的要因が、個性の多様として通常想定される範囲を超え、加害者に全損害を賠償させることが公平を失するような場合には素因減額を認めているといえます。

<自賠責保険と素因減額>
素因減額は、自賠責保険には適用されません
自賠責保険の減額事由は、自賠責保険の支払基準上、「重要な過失による減額」と「受傷と死亡又は後遺障害との因果関係の有無の判断が困難な場合の減額」の2点に限定されているためです。

<任意保険と素因減額>
任意保険では素因減額が適応されますが、適応された場合には減額の必要性等慎重な検討が必要です。
・精神的要因については、他覚的な所見がなく、通常の場合であれば影響が軽微にとどまっていると考えられるのに、相当な期間を超えて加療を必要としたような場合。

裁判実務においては、もともと被害者が持つ身体的要因が「疾患」に当たる場合や、「通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴」に止まるのか問題となる場合もあります。