交通事故FAQ

後遺障害の等級(高次脳機能障害)|弁護士による交通事故相談

 私の夫は、交通事故によって、「高次脳機能障害」の後遺障害が残ってしまいました。高次脳機能障害は、どの程度の後遺障害が認定されるものなのでしょうか。

 交通事故の後遺障害の中でも、高次脳機能障害は、発見されにくいものの一つといわれています。

高次脳機能障害は、交通事故や転倒などによる外傷性脳損傷や脳血管障害・脳腫瘍・脳炎・低酸素性脳症などの疾患により発症すると言われています。

高次脳機能障害は脳の一部が損傷を受けることで、記憶、意思、感情などの機能に障害が現れる傷病です。受傷・発症後、身体的な後遺症を残さない場合が多いため、外見上障害があることがわかりにくく、一見健常者との見分けがつかない場合もあります。そのため周囲の理解を得られにくいといった問題もあり、障害の程度によっては本人ですら指摘されるまで気づかないということもあるようです。そのため、他の後遺障害の場合と比べ、被害者が非常に辛い思いをしてしまうこともあるようです。

後遺障害等級認定の等級アップのポイント

(1)等級アップの重要性

高次脳機能障害においても,非常に重篤とされる1級~3級は,自賠責保険における判断が難しくないとされています。しかしながら,自賠責保険において,その症状の程度があいまいな5級,7級,9級については,認定基準もあいまいなため,何級とすべきかの判断も,いまいち不明確であることがうかがえます。

高次脳機能障害の症状の程度というものが,客観的な数字的・統計的判断ではなく,いわば,目に見えない症状を外部の目から判断するという難しさをもっているので,当然といえば当然かもしれません。

しかしながら,5級と9級を比べると,後遺症慰謝料は裁判所基準(裁判をしたならば認められる基準)で,5級=1400万円,9級=690万円ですし,後遺障害逸失利益を算定する場合の労働能力喪失率も,5級=79%,9級=35%となっています。これは損害賠償算定につき,2倍以上の大きな差を生じるもので,等級アップの重要性は語るまでもありません。

1 認定資料の重要性

高次脳機能障害の等級認定資料となるのは,「日常生活状況報告書」や,医師作成にかかる「神経系統の障害に関する医学的所見」,「脳外傷による精神症状等についての具体的な所見」,「各種神経心理学的検査結果」等ですが,等級アップに重要なのは,まさにそれらの内容と各種資料との整合性です。

2 「日常生活状況報告書」には別紙を

「日常生活状況報告書」については,患者の,事故後~症状固定までの生活状況を詳細に記載し,事故後の患者の障害の程度および症状の経過を示せることが重要です。これは,患者本人で認識できることに限界がありますので,患者を見守るご家族の方々の真摯な協力が必要となります。

「日常生活状況報告書」は,通常用いられる雛型がありますが,この空欄に諸症状を書ききることはおよそ不可能です。したがって,諸症状や患者の行動・事件事故などを具体的詳細に示すためには,「別紙」として,ご家族が文章にして,「陳述書」というかたちで提出することが有益です。その際,各種神経心理学的検査結果と,日常生活状況の報告内容に齟齬がないことが重要です。

3 医師の所見はしっかりと記載

「神経系統の障害に関する医学的所見」,「脳外傷による精神症状等についての具体的所見」については,専門家である医師が作成するものです。一般に,記載内容に信頼性があるといえますが,診察室で限られた時間のみ患者と対面している医師が,毎日患者のそばで生活をしているご家族同様に,患者の症状を把握することは困難です。したがって,これらの所見を記載してもらう際には,日常生活状況報告書の内容をあらかじめ医師に見てもらい,患者の具体的症状を医師にしっかり理解してもらうことが重要です。医師によっては,所見を書き忘れる,症状の把握が足りていない等の可能性もあるので,所見については,患者の症状をしっかり書面に記載してもらうことが重要です。もちろん,各種検査の結果も重要ですが,何よりも医師の所見(診断書や意見書の記載)が重要視されることはもちろんです。

ご自身の症状に見合った等級の認定を受け,合理的な補償(損害賠償)を受けるためには,この等級認定のための所見を提供してくれる,親身になってくれる医師とのつながりが重要だと思われます。

また,「記載不備」が理由で等級が変わってくることもあるので,十分かつ的確な「所見」を記載してもらえるべくお願いすることが,等級認定及び等級アップの重要なポイントです。

弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所(千葉)
弁護士 大隅愛友(おおすみ よしとも)