後遺障害の種類

1 後遺障害の種類

交通事故による後遺障害は、被害者の方の労働能力の喪失であり、その後の一生に大きな影響を与えるものです。ご家族やご本人が後遺障害を負ってしまわれた場合は、適正な賠償金を獲得するためにも、後遺障害について、理解を行うことが重要です。

主な後遺障害の種類
病状 症状
遷延性意識障害 重度の昏睡状態(植物状態とも言います)
高次脳機能障害 脳の損傷による記憶障害、注意障害、認知障害など
脊髄損傷 中枢神経系である脊髄の損傷による障害、運動機能の喪失、知覚消失など
RSD 外傷が治癒したあと、アドレナリンの放出により慢性的な痛み、痺れを感じる障害
各部位の損傷による障害 骨折、脱臼、筋肉、腱、靱帯損傷、神経損傷、麻痺など?

2 弁護士法人ベストロイヤーズの強み

後遺障害のサポートには専門性の高い医学知識を必要とするため、交通事故問題に詳しい弁護士であり、後遺障害についても精通している弁護士でなければ適正な後遺障害の認定を得るためのアドバイスを行うことができません。?

当事務所では、外部の後遺障害の専門家と連携し、事故直後から後遺障害の等級認定に向けたサポートも行っております。

ご相談料は無料で、弁護士費用特約の利用によって、弁護士費用も実質負担がゼロ円になります。お気軽にご相談ください。

弁護士費用特約

3 部位別の後遺障害の種類

(1)眼球

眼の後遺障害は、①眼球の障害と、②眼瞼の障害に大きく区分されています。

眼球の後遺障害 視力障害、調整機能障害、視野障害
瞼の後遺障害 欠損、運動障害

ここでの重要なポイントは、「外傷に起因する他覚的所見により、後遺障害の存在を証明できること」であり、これが必要条件となっています。

(2)頸部

頸椎は、8つの椎体で構成されており、頸椎の回旋等に大きな役割を果たしています。頸椎の後遺障害でよく見受けられるのが、いわゆるむち打ち症(一般的に、「頸椎捻挫」、「外傷性頸部症候群」などの傷病名の診断がなされます。)です。

症状としては、頸部痛や上腕部から手指にかけて疼痛・痺れ等の症状が見られます。もっとも、頸部障害の場合、他の障害と比べ、症状を裏付ける客観的な医学的所見が見つかりにくいことが特徴です。整形外科では、けん引やマッサージ、ホットパック、電気治療といった治療が行われ、ペインクリニックなどでは、ブッロク注射などによる症状緩和の治療が行われるのが一般的です。

頸部の後遺障害等級認定として、獲得すべき等級は、14級9号(局部に神経症状を残すもの)または12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)が対象となってきます

(3)肩部

肩部は、ほぼ完全な休憩をした上腕骨の大きな骨頭と、それがはまり込む肩甲骨の外側にある比較的小さくて浅い関節窩(かんせつか)によって肩関節が構成され、肩甲骨からは肩関節に庇を指しかけるように、肩峰と烏口突起が張り出し、これらの突起を互いに連結する靱帯が、関節窩の小ささを補う、という複雑な構造をしており、人体の中で最も幅広く可動する関節の一つです。

肩部の後遺障害で良く見受けられる傷病として、脱臼、五十肩、肩回旋腱板損傷などがあり、肩部に影響を及ぼすものとして、上腕骨骨折等があります。

このような場合、関節部に疼痛を感じ、また可動域に制限が出るなどの症状が現れます。

これら症状に対しては、整形外科では、手術を行うことも珍しくなく、その後は装具によって固定するなどして保存的治療が行われます。

肩部の後遺障害等級認定

獲得すべき後遺障害等級は、神経症状を残すものとして14級9号(局部に神経症状を残すもの)、12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)、機能障害として12級6号(一上肢の三大関節中の一関節の機能に傷害を残すもの)、10級9号(一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの)、8級6号(一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの)、変形障害として、8級8号(一上肢に偽関節を残すもの)、7級9号(一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの)が考えられます。

さらに、肩関節を含めてひじ関節や上肢全般として障害を残したときに獲得すべき後遺障害等級は、機能障害として6級5号(一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの)、5級4号(一上肢の用を全廃したもの)、1級7号(両上肢の用を全廃したものが考えられ、肩関節に影響を与える恐れがあるものとして12級8号(長官骨に変形を残すもの)が考えられます。

(4)手指

後遺障害等級認定獲得のためのポイント

手指の欠損状況や可動域制限が客観的に分かる資料の収集

→欠損状況を撮影した写真や可動域制限が記載されている診断書等です。

症状が事故後から症状固定まで一貫して続いていること

→事故後、一定期間経過して生じる症状については、疑念を抱かれてしまいます。

整形外科への実通院日数の多さ

→手指の機能障害については、自覚症状を主治医に伝え,半年間を目安にしっかり治療に専念できているか。

過不足のない後遺障害診断書が完成していること

→後遺障害等級認定は書面審査が基本。単に作成すればいいわけではありません。

以上のポイントは最低限の注意事項で、各人の状況によっては、不利な事情をカバーする医療的証拠等も提出する必要があります。適切な後遺障害等級認定を獲得するためには、治療方針も含めて事前の分析と準備が不可欠なのです。

手指の症状と治療法

まず、手指の構造についてですが、5本の指すべてに中手骨1本があり、母指(親指)を除いた4本の指に指骨が各3本あります。母指(親指)の指骨は2本です。

したがって、母指(親指)を除いた4本の指は、中手骨1本+指骨3本(それぞれ掌から見て順に基節骨・中節骨・末節骨と呼ばれます。)で構成され、母指(親指)は、中手骨1本+指骨2本(基節骨・末節骨です。)で構成されていることになります。なお、指骨は3本×4指+2本=14本あることになります。

関節で考えると、母指(親指)を除いた4本の指には、基節骨と中手骨との間に一つ(これを中手指節関節と言います。MPと書くこともあります。)、そして3本の指骨の間に二つ(基節骨と中節骨の間を近位指節間関節=PIP、中節骨と末節骨との間を遠位指節間関節=DIPと言います。)あります。

母指(親指)には基節骨と中手骨との間に一つ(中指節関節=MP)、そして2本の指骨である基節骨と末節骨間に一つ(指節間関節=IP)あります。

手指の後遺障害としては、「欠損又は機能障害」があります。

(5)胸部

胸部には、心臓と心臓を包む心嚢、肺臓とそれを包む胸膜、気管、胸部と腹部を分ける横隔膜があります。

胸部臓器の障害とは、心臓、心嚢、肺臓、肋膜、横隔膜等に他覚的に証明し得る器質的損傷が認められるもので、心嚢癒着、心外膜障害、心弁膜障害、肋膜癒着およびベンチや肺損傷後の肉変形成等の程度に応じて等級が認定されます。

他覚的検査としては、聴打診、心電図、XP 検査、心肺機能検査と負荷試験、血液ガス分析があります。

(6)腰(股関節)

受傷後6ヵ月ほどで症状固定となり、股関節の機能障害が残存すれば上記等級のうち、12級7号が認定されるというケースが多いです。

もっとも、ここで注意しなければならないのは、後遺障害等級は、後遺障害診断を受ける時の状態で判定されるということです。すなわち、人間の身体は私たちが思っている以上に良く出来ているものであり、後遺障害とはいっても症状は日々改善していくものです(これを医学的には「日にち薬」と説明したりします)。したがって、ずるずると通院を継続することで下手に症状固定の時期を遅らせてしまうと、かえって後遺障害が認定される可能性が低くなるという点に注意が必要です。

症状と治療法

人体における「下肢」(腰から下の部分)には、①股関節、②膝関節、③足関節(足首のことです。)と3つの重要な関節があります(3大関節)。

このうち、股関節は、自らの体重と地面からの重力とを分散する重要な役割を担っており、柔軟性と支持性が同時に求められるため、人体の中で最も強い靭帯と筋肉に覆われています。

もっとも、裏を返せば股関節には常に強い負荷がかかっているということであり(体重の3?10倍の負荷がかかっています。)、他の部分と上手く連動できない場合には機能障害を引き起こしやすいと言えるのです。

股関節関連の傷病名としてよく見受けられるのが、「股関節脱臼・骨折」や、「変形性股関節症」です。

具体的な症状としては、

  • 特定の動きをする時にだけ痛みを感じる
  • 股関節の動きが悪い
  • 股関節周辺の筋肉に力が入りにくくなる

変形性股関節症の治療法としては、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2つが考えられます。まずは保存療法により様子を見て、結果が芳しくない場合には手術を検討するという具合です。

保存療法においては、前述のとおり、股関節には元々かなりの負荷がかかっているため、体重コントロールや運動療法や温熱療法などの理学療法、薬物療法などが施されます。

手術療法においては、関節を温存する手術か、もしくは自分の股関節をあきらめ、関節を固定したり人工のものに置換えたりする手術がなされます。

(7)足指

足指の後遺障害等級認定

足指の後遺障害には、大きく分けて、欠損障害と機能障害があります。程度により、足指の欠損障害の場合は5級から13級が、機能障害の場合は7級から14級が認定されることになります。

(8)外貌醜状

外貌醜状の後遺障害等級認定

獲得すべき後遺障害等級としては、7級12号(外貌に著しい醜状を残すもの)、9級16号(外貌に相当程度の醜状を残すもの)、12級14号(外貌に醜状を残すもの)です。

ここでいう「外貌」とは、頭部、顔面部、頚部のごとく、上司および下肢以外の日常露出する部分を指しています。

7級12号にいう「著しい醜状」とは、次のもののうち、人目に付く程度以上のものをいいます。

  1. 頭部については手のひら大(指の部分は含みません。以下同じ。)以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
  2. 顔面については、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没
  3. 頚部については、手のひら大以上の瘢痕

9級16号にいう「相当程度の醜状」とは、顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目に付く程度以上のものを指します。

12級14号にいう単なる「醜状」とは、次のもののうち、人目に付く程度以上のものをいいます。

  1. 頭部については、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
  2. 顔面部については、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕
  3. 頚部については、鶏卵大面以上の瘢痕

交通事故で醜状が残る場合としては、地面との接触により擦過傷が生じ、それが瘢痕(いわゆる傷あと)として残ったり、ガラスで皮膚を切った切創のあととして残ったり、皮下の治療のためメスで皮膚を切開したところを縫合した後に手術痕として残ったりする場合が一般的です。切創のあとや手術痕のように、線状にあとが残ったものを線状痕と呼びます。

その他、残りうる醜状としては、欠損、ケロイド、血腫や色素沈着などがあります。